解説本

プラトン『クリトン』を読む

問いでたどる解説本

プラトンの『クリトン』を、ソクラテスが牢で語った順に、一つずつ問いを立てながら読み進める解説本です。序章と第一〜八章の計26節に、巻末の用語を付けました。各節の見出しは、その箇所で立ち上がる問いです。

本文中の引用は、すべて古典書房の翻訳HTML『クリトン』の訳文によります。

プラトン『クリトン』を読む
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HTMLファイル(1ファイル)。ご購入後は、古典書房のサイト内でもお読みいただけます。

目次

はじめに

『クリトン』は、死刑の判決を受けたソクラテスが、処刑を待つ牢のなかで、旧友のクリトンと交わした対話を、プラトンが書き記した作品です。話すのはソクラテスとクリトンの二人で、途中には、ソクラテスが想像する「法律たち」の語りが入ります。読み通してみると、なぜソクラテスは、友人が整えてくれた脱獄の機会を、あれほど静かに断ったのか、なぜ「正しいかどうか」だけを問題にしたのか、といった疑問が、あとから次々に湧いてきます。

この本は、その疑問を、対話の進む順に、一つずつ問いの形で立てながらたどるための案内です。翻訳HTMLの概説は、この作品を、クリトンの懇願、何を行動の拠り所とすべきかの吟味、法律たちの語りを中心とする部分の三つに分けています。この本は、その内側を、場面の区切りにしたがって八つの章に分けました。その前に、この対話の背景を短くまとめた序章を置き、巻末には、引っかかりやすい言葉の手引きとして「用語」を付けました。序章と八つの章は、あわせて二十六の節に分かれ、各節は、その場面で立ち上がる問いを見出しにしています。

どの節から読み始めても、その節で何が問われているのかが分かるように書いていますが、この対話は、前に確かめたことを受けて進むので、順に読むことをおすすめします。

読むための手がかりを、一つだけ先に示しておきます。ソクラテスは、前半で、クリトンの訴えに応えて、何に従って決めるのかを確かめていきます。後半では、自分たちが逃げ出そうとしているときに、法律たちと国の共同体が現れて語りかける場面を、ソクラテスが想像します。このとき、法律たちの言葉、それに答えるソクラテス自身の言葉、現実のクリトンへの呼びかけの三つが、入れ替わりながら出てきます。今、誰が誰に向かって話しているのかを見失わなければ、この対話は、筋道をたどって読み通せます。

本文中の引用は、すべて翻訳HTMLの訳文によります。序章と用語には、訳文の外から補った説明が含まれますが、その部分は「原典の外の知識ですが」と断っています。引用のあとの(46b)などの記号は、ステファヌス版の頁(古典学における標準的な引用の目印)で、翻訳HTMLの「底本頁」表示と対応しています。気になった箇所は、翻訳HTMLで前後を通して読んでみてください。この本は、原典を読む代わりではなく、原典を読むための地図として書かれています。

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