解説本
プラトン『クリトン』を読む
問いでたどる解説本
プラトンの『クリトン』を、ソクラテスが牢で語った順に、一つずつ問いを立てながら読み進める解説本です。序章と第一〜八章の計26節に、巻末の用語を付けました。各節の見出しは、その箇所で立ち上がる問いです。
本文中の引用は、すべて古典書房の翻訳HTML『クリトン』の訳文によります。
プラトン『クリトン』を読む
問いでたどる解説本
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目次
- はじめに(このページの下に全文を掲載しています)
- 序章 この作品を読むための背景
- 1 ソクラテスの処刑は、なぜ判決から日がたって行われるのか
- 2 クリトンとは、どんな人物なのか
- 3 『クリトン』は、『クリトン』のあと、何を問う作品なのか
- 第一章 夜明けの牢(43a〜44b)
- 1 クリトンは、夜明け前の牢に、何を知らせに来たのか
- 2 ソクラテスは、なぜ船は今日は着かないと考えたのか
- 第二章 クリトンの懇願(44b〜46a)
- 1 クリトンは、なぜ脱獄を勧めるのか
- 2 多くの人々の評判を、なぜ気にしなくてよいのか
- 3 金も危険も心配ないと言うクリトンは、さらに何を重ねるのか
- 第三章 何に従って決めるのか(46b〜48a)
- 1 ソクラテスは、なぜ今になっても、以前の言論を捨てないのか
- 2 どの人の思わくを重んじ、どの人の思わくは重んじないのか
- 3 損なわれたら生きるに値しなくなる「あのもの」とは、何か
- 第四章 問うべきことは何か(48a〜49a)
- 1 最も大切にすべきは、ただ生きることなのか
- 2 金・評判・子どもの養育は、なぜ検討する事柄から外れるのか
- 第五章 不正をし返してはならない(49a〜50a)
- 1 どんな場合にも、不正を行ってはならないのか
- 2 不正を受けたら、不正をし返してよいのか
- 3 正しいと合意したことは、実行すべきなのか
- 第六章 法律たちの語り(50a〜51c)
- 1 脱獄は、なぜ国を滅ぼすことになると言われるのか
- 2 法律たちは、ソクラテスに何を負っていると言うのか
- 3 祖国は、なぜ父母よりも畏れ多いと言われるのか
- 第七章 行動による合意(51c〜53a)
- 1 国にとどまることは、なぜ「合意した」ことになるのか
- 2 ソクラテスは、なぜほかの誰よりも強く、この合意に縛られるのか
- 3 七十年のあいだ、ソクラテスは何を選び続けたのか
- 第八章 脱獄の結果と、結び(53a〜54e)
- 1 脱獄すれば、友人たちはどうなるのか
- 2 逃げた先で、ソクラテスはどう見られるのか
- 3 ハデスの国の法律たちは、ソクラテスを迎えるだろうか
- 4 ソクラテスは、なぜ「この道を進もう」と言って対話を終えたのか
- 用語(巻末)
はじめに
『クリトン』は、死刑の判決を受けたソクラテスが、処刑を待つ牢のなかで、旧友のクリトンと交わした対話を、プラトンが書き記した作品です。話すのはソクラテスとクリトンの二人で、途中には、ソクラテスが想像する「法律たち」の語りが入ります。読み通してみると、なぜソクラテスは、友人が整えてくれた脱獄の機会を、あれほど静かに断ったのか、なぜ「正しいかどうか」だけを問題にしたのか、といった疑問が、あとから次々に湧いてきます。
この本は、その疑問を、対話の進む順に、一つずつ問いの形で立てながらたどるための案内です。翻訳HTMLの概説は、この作品を、クリトンの懇願、何を行動の拠り所とすべきかの吟味、法律たちの語りを中心とする部分の三つに分けています。この本は、その内側を、場面の区切りにしたがって八つの章に分けました。その前に、この対話の背景を短くまとめた序章を置き、巻末には、引っかかりやすい言葉の手引きとして「用語」を付けました。序章と八つの章は、あわせて二十六の節に分かれ、各節は、その場面で立ち上がる問いを見出しにしています。
どの節から読み始めても、その節で何が問われているのかが分かるように書いていますが、この対話は、前に確かめたことを受けて進むので、順に読むことをおすすめします。
読むための手がかりを、一つだけ先に示しておきます。ソクラテスは、前半で、クリトンの訴えに応えて、何に従って決めるのかを確かめていきます。後半では、自分たちが逃げ出そうとしているときに、法律たちと国の共同体が現れて語りかける場面を、ソクラテスが想像します。このとき、法律たちの言葉、それに答えるソクラテス自身の言葉、現実のクリトンへの呼びかけの三つが、入れ替わりながら出てきます。今、誰が誰に向かって話しているのかを見失わなければ、この対話は、筋道をたどって読み通せます。
本文中の引用は、すべて翻訳HTMLの訳文によります。序章と用語には、訳文の外から補った説明が含まれますが、その部分は「原典の外の知識ですが」と断っています。引用のあとの(46b)などの記号は、ステファヌス版の頁(古典学における標準的な引用の目印)で、翻訳HTMLの「底本頁」表示と対応しています。気になった箇所は、翻訳HTMLで前後を通して読んでみてください。この本は、原典を読む代わりではなく、原典を読むための地図として書かれています。
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