酔った神々の宴の勢いで、正式に英雄として認められたマルドゥク。しかし、名ばかりの称号では、ティアマトの十一体の怪物には太刀打ちできません。神々は、彼が本当にその力を持つのか、まず試すことにします。

「マルドゥクは王だ」——力を示す試練

神々はマルドゥクの前に衣を一枚置き、こう命じます。

「今、命じ、衣を消えさせよ。そして再び言葉を語り、衣をまた現れさせよ!」そこで彼が口で語ると、衣は消えた。再び彼が命じると、衣はまた現れた。彼の父たちである神々が、彼の言葉の(成就を)見たとき、彼らは喜び、(彼に、こう言って)敬意を捧げた、「マルドゥクは王だ!」(第四書板 23〜28行より抜粋)

言葉を語るだけで物を消し、また現す——この試練にマルドゥクが応えたことで、神々は彼に王笏と玉座と指輪、そして敵を圧倒する無敵の武器を授けます。

マルドゥク、武器を取って進み出る

権威を与えられたマルドゥクは、みずから武器を選び取ります。

「彼は弓を用意し、自らの武器を選んだ、彼は槍を身に掛け……彼は棍棒を掲げ、右手につかんだ、弓と矢筒を、彼は脇に掛けた。彼は稲妻を自らの前に置き、燃える炎で、彼は自らの体を満たした。彼は、ティアマトの内臓を包み込む網を造り、四つの風を、彼女の何ものも逃れないように配置した。」(第四書板 35〜42行より抜粋)

こうして武装を整えたマルドゥクは、さらに雷を掲げ、四頭の獰猛な馬がひく戦車に乗り込み、ティアマトのもとへと進んでいきます。

空は、殺された女神の死体でできている

対峙した二柱は、ついに戦いを始めます。訳文はこう伝えます。

「主は網を広げて彼女を捕らえ……ティアマトが口をいっぱいに開けたとき、彼は悪い風を送り込んだ……彼は槍をつかんで、彼女の腹を破り……彼は彼女を打ち負かし、その命を断った。」(第四書板 95〜103行より抜粋)

ティアマトを倒したマルドゥクは、その死体を、なんと世界を作る材料として使います。

「彼は平たい魚のように彼女を二つに裂いた。彼女の半分を、彼は天を覆うものとして据えた。彼はかんぬきを取りつけ、番人を置いた、そして、彼女の水を外へ出さぬよう彼らに命じた。」(第四書板 137〜140行)

女神の死体の半分が、そのまま「空」になる。しかもその空には、かんぬきと見張りまで置かれ、ティアマト(=原初の水)が漏れ出さないよう、封じ込められているのです。マルドゥクはこのあとも手を止めず、深淵(=討たれたアプスー)の構造を測り、それに似せた館エシャラを築いて、アヌ、ベール、エアをそれぞれの区域に住まわせます。天を造っただけでなく、神々の住まいまで、ひと続きの作業として仕上げていくのです。

創世記との、驚くほど似た符合

ここで、聖書に詳しい方なら、ぴんとくるかもしれません。『創世記』1章では、神が「大空」を造り、大空の上の水と下の水とを分けた、と語られます(1章6〜8節)。そしてこの「水」を指すヘブライ語「テホーム(tehōm)」は、混沌と混乱を擬人化した深みの怪物「ティアマト」に相当するとされる言葉です。

この類似に最初に気づいたのは、1875年にこの詩の断片を報告した研究者ジョージ・スミスでした。ただし、後の研究では、創世記の記述がこの詩をそのまま借用したと単純には言えず、両者が古代オリエントに共通する、もっと大きな伝承の背景を分け合っていた、という、より慎重な見方も有力になっています。それでも、「水を二つに分けて、その一方から空を作る」という発想そのものが、これほど遠く離れた二つの文書に残っているのは、驚くべきことです。

ティアマトを倒したマルドゥクは、この後、天だけでなく、星々の運行や暦までも定めていきます。次の記事では、そのなかでも小さな、しかし印象的な出来事——ある道具に、神々みずからが名前を与え、それが星座になっていく場面を見ていきます。