ティアマトが十一体の怪物を従え、キングーに運命の書板を授けたことを、前の記事で見ました。若い神々の誰も太刀打ちできそうにない、この脅威を前に、神々はどう動いたのでしょうか。結論から言えば、彼らが最終的にとった行動は、あまり凛々しいものではありませんでした。

使者エアの落胆、父アンシャルの嘆き

ティアマトの企てを見て取ったエアは、日々を重ねてようやく怒りを鎮め、父アンシャルのもとへ向かいます。そして、ティアマトの軍勢とキングーの任命について、すべてを報告します。この報告を聞いたアンシャルは、唇をかみ、苦い嘆きを口にしました。頼みの綱であったエア自身が、すでにアプスーを討ったときの力を使い果たしていたのか、あるいは相手の強大さに気圧されたのか、本文の欠損のために詳しい理由は分かりませんが、アンシャルはまず別の神に助けを求めることになります。

逃げ帰ったアヌ

白羽の矢が立ったのは、天の神アヌでした。父アンシャルの言葉に従い、アヌはティアマトのもとへ向かいます。本文はこの前後がかなり欠けていますが、読み取れる限りでは、アヌはティアマトのつぶやきを見て取ったものの、引き返してしまいます(第二書板 81〜82行)。

知恵の神エアに続いて、天の神アヌまでもが、ティアマトを前に引き返してしまったのです。アンシャルは「いったいどんな男が、あなたを戦いへ連れ出したのか」とアヌを問い詰めますが、事態は動きません。神々のなかに、進んでティアマトへ立ち向かおうとする者は、もういないように見えました。

名もなき「主」が交わした条件

そこに進み出たのが、エアの子でした。この場面で彼の名は一度も明かされず、本文はただ「主」とだけ呼びます。彼は父アンシャルの言葉を喜び、こう申し出ます。

「おお、神々の主、大いなる神々の運命よ、もし、あなたがたの復讐者である私が、ティアマトに打ち勝ち、あなたがたに命を与えるならば、集会を設け、私の運命を卓越したものとし、それを宣言するがよい。ウプシュッキナクに、ともに喜びのうちに席に着くがよい、私の言葉によって、あなたがたに代わり、私は運命を定めよう。私が行うことは何であれ、変わらぬままであるように、私の唇の言葉が、決して変えられず、無効にされることもないように。」(第二書板 133〜140行より抜粋)

つまりこの「主」は、無条件でティアマトに立ち向かうわけではありません。戦いに勝った暁には、自分を神々の頂点に立たせ、その言葉を絶対のものとして認めよ、という条件を、あらかじめ突きつけているのです。アンシャルは喜び、宰相ガガを使者に立てて、この一部始終をラフムとラハムのもとへ伝えさせます。

興味深いのは、その伝え方です。ティアマトの怪物とキングーの任命、そして「主」が交わした条件は、エアがアンシャルに語った言葉、アンシャルがガガに託した伝言、そしてガガがラフムとラハムの前で述べる言葉として、ほぼ同じ文言で三度も語り直されます。同じ言葉を繰り返しながら物語を運んでいくこの語り口は、この叙事詩がもともと声に出して語られ、聴かれていたことをうかがわせます。

酔いにまかせて選ばれた英雄

ガガの報告を聞いたラフムとラハムは、他の神々を呼び集めます。しかし、そこで開かれたのは、緊急の軍議ではなく、宴でした。

「彼らは宴の支度をし、宴席に[着いた]。彼らはパンを食べ、[ゴマ酒]を混ぜた。甘い飲み物、蜜酒は、彼らの……を混乱させた、彼らは飲んで酔い、その体は満たされた。彼らはすっかりくつろぎ、その気持ちは高められた。そこで、マルドゥクのために、彼らの復讐者のために、彼らは運命を定めた。」(第三書板 133〜138行より抜粋。角括弧は、欠損部分を底本が推測により補っている箇所)

世界の存亡を左右するはずの決定が、すっかり酔いの回った神々の手で下されるのです。そして本文がここで初めて、あの名もなき「主」の名を明かします――マルドゥク。エアの子である一柱の神が、こうして正式に、神々の英雄として認められました。

次の記事では、こうして権威を与えられたマルドゥクが、実際に武器を取り、ティアマトとの戦いに向かう場面を見ていきます。