解説本
バークリ『人知原理論』を読む
問いでたどる解説本
バークリの『人知原理論』を、書かれた順に、一つずつ問いを立てながら読み進める解説本です。序章と全14章の計41節に、巻末の用語を付けました。各節の見出しは、その箇所で立ち上がる問いです。
本文中の引用は、すべて古典書房の翻訳HTML『人知原理論』の訳文によります。サイトには、この本の話題に関連する記事を6本、無料で公開しています。目次の「関連記事」から読めます。
バークリ『人知原理論』を読む
問いでたどる解説本
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目次
- はじめに(このページの下に全文を掲載しています)
- 序章
- 1 『人知原理論』は、いつ、どんな本として書かれたのか
- 2 『人知原理論』が向き合った難問は、何だったのか
- 3 この本は、どんな順序で進むのか
- 第一章 序論:言葉と抽象観念(序論§1〜§25)
- 1 哲学は、なぜかえって疑いに陥るのか
- 2 抽象観念を、人は本当に作れるのか 関連記事
- 3 一般観念は、どうして一般的になるのか
- 4 言葉は、なぜ私たちを惑わすのか
- 5 言葉の覆いを取り払うとは、どういうことか
- 第二章 存在するとは知覚されること(§1〜§24)
- 第三章 観念の原因と、実在する物(§25〜§33)
- 1 観念は、何かの原因になれるのか
- 2 実在する物と空想は、どこで分かれるのか 関連記事
- 第四章 最初の反論に答える(§34〜§44)
- 1 この原理は、物の実在を損なうのか
- 2 物は、私たちの外にあるのではないのか
- 第五章 消滅・自然的原因・同意(§45〜§57)
- 1 誰も見ていないとき、物は消えるのか 関連記事
- 2 物質がなければ、自然学は成り立たないのか
- 3 人類の同意は、物質の証拠になるのか
- 第六章 学問と自然の仕組み(§58〜§66)
- 1 この原理は、学問の真理や自然の精妙な仕組みと両立するのか
- 2 観念のつながりは、原因と結果なのか
- 第七章 物質を取り直す試み(§67〜§84)
- 1 物質を「感覚のない不活発な実体」と言い換えれば、救えるのか
- 2 人はなぜ、物質を想定してきたのか
- 3 実体でも偶有性でもない何か、は考えられるのか
- 4 理性の論証や奇跡は、物質を要請するのか
- 第八章 原理の帰結:懐疑論と無神論(§85〜§96)
- 1 観念を心の感覚として見れば、確実に知られるのか
- 2 確かな知識は、どのように築かれるのか
- 3 物質は、懐疑論や無神論を支えてきたのか
- 第九章 抽象観念という、もう一つの源(§97〜§100)
- 1 抽象観念は、知識をどのように誤らせるのか
- 第十章 自然哲学(§101〜§117)
- 1 物の本性は知りえないのか、引力は何を説明するのか
- 2 時間・運動・空間をめぐる論争は、どう整理されるのか
- 第十一章 数学(§118〜§134)
- 1 算術は、数を扱うのか、記号を扱うのか
- 2 幾何学の「延長」は、抽象観念なのか
- 3 無限分割と無限小は、なぜ生じるのか
- 第十二章 精神を知る(§135〜§144)
- 1 精神は、観念として知られるのか 関連記事
- 2 精神について、私たちは何を知るのか
- 第十三章 他の精神と神(§145〜§149)
- 1 他の精神がいることを、どう知るのか
- 2 神がいることを、どう知るのか
- 第十四章 自然、悪、結び(§150〜§156)
- 1 自然は、何も生み出さないのか
- 2 悪や苦痛は、神の知恵と善に反しないのか
- 3 研究の第一に置くべきものは何か
- 用語(巻末)
はじめに
『人知原理論』は、バークリが書いた、序論と第一部からなる哲学書です。私たちが見たり触れたりしている物は、心の外に、知覚されないままでも存在している、という考えを、バークリは出発点から問い直します。物とは何か、存在するとはどういうことか、そして、その問いが、学問や神についての考えにまで及んでいきます。論述の書で、語り手の「私」は、バークリ自身です。読み進めるうちに、なぜそう言えるのか、その前提は何だったのか、という疑問が次々に湧いてくる本です。
この本は、その疑問を、バークリが書いた順に、一つずつ問いの形で立てながらたどるための案内です。序論は、言葉と抽象観念を扱います。第一部は、存在の原理を立て、それに向けられそうな反論に答え、その帰結を自然哲学と数学に確かめ、最後に精神と神に至ります。この本は、その流れに沿って、十四の章に分けました。その前に、この作品を読むための背景を短くまとめた序章を置き、巻末には、引っかかりやすい言葉の手引きとして「用語」を付けました。各章の中は、その箇所で立ち上がる問いを見出しにした節に分かれています。
どの節から読み始めても、その節で何が問われているのかが分かるように書いていますが、『人知原理論』は、前に確かめたことを次の議論の土台にする作品なので、順に読むことをおすすめします。
読むための手がかりを、一つだけ先に示しておきます。この作品は、結論をただ受け取らせるのではなく、読者に自分の観念をのぞきこんで確かめることを求めます。今、何が言えたところなのか、その結論が次の問いでどう使われるのか、この二つを見失わなければ、序論から第一部の終わりまで、筋道をたどって読み通せます。
本文中の引用は、すべて翻訳HTMLの訳文によります。引用のあとの(§7)などの数字は、第一部の節番号で、翻訳HTMLの各節の頭に付いている番号と対応しています。序論からの引用には、(序論§7)のように「序論」が付いています。序章と用語には、訳文の外から補った説明が含まれますが、その部分は「原典の外の知識ですが」と断っています。気になった箇所は、翻訳HTMLで前後を通して読んでみてください。
まず序章で、この作品が書かれた経緯と、向き合った難問を確かめておきます。そのうえで、本文の最初の問い、哲学は、なぜかえって疑いに陥るのか、に入りましょう。
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