解説本

トマス・アクィナス『存在するものと本質について』を読む

問いでたどる解説本

トマス・アクィナスの『存在するものと本質について』を、書かれた順に、一つずつ問いを立てながら読み進める解説本です。序章と、緒言・第一章〜第七章の計24節に、巻末の用語を付けました。各節の見出しは、その箇所で立ち上がる問いです。

本文中の引用は、すべて古典書房の翻訳HTML『存在するものと本質について』の訳文によります。サイトには、この本の話題に関連する記事を7本、無料で公開しています。目次の「関連記事」から読めます。

トマス・アクィナス『存在するものと本質について』を読む
問いでたどる解説本

HTMLファイル(1ファイル)。ご購入後は、古典書房のサイト内でもお読みいただけます。

目次

はじめに

『存在するものと本質について』は、トマス・アクィナスが書いた、全体で八頁ほどの短い哲学の論述です。「存在するもの」と「本質」という二つの語が何を意味するのかを確かめるところから出発して、複合的な実体、魂や知性体のような単純な実体、そして付帯性へと、本質のあり方を順にたどっていきます。分量は少ないのですが、一つの結論が次の議論の土台になり、さらに、権威として引かれる人々の言葉や、トマスが退ける説も次々に現れるため、読み始めると、なぜそう言えるのか、いまの話は誰の説なのか、という疑問が湧いてきます。

この本は、その疑問を、トマスが論じた順に、一つずつ問いの形で立てながらたどるための案内です。翻訳HTMLの本文は、緒言と七つの章からなります。この本は、それに沿って八つの章に分けました。その前に、この作品を読むための背景を短くまとめた序章を置き、巻末には、引っかかりやすい言葉の手引きとして「用語」を付けました。各章の中は、その箇所で立ち上がる問いを見出しにした節に分かれています。

どの節から読み始めても、その節で何が問われているのかが分かるように書いていますが、この作品は、前に確かめたことを次の議論の土台にするので、順に読むことをおすすめします。

読むための手がかりを、二つだけ先に示しておきます。一つ目は、いま何が言えたところなのか、その結論が次の議論でどう使われるのかを、見失わないことです。二つ目は、「哲学者」「注解者」などの権威の言葉や、「ある人々は〜と言う」と紹介される説と、トマス自身の結論とを、取り違えないことです。紹介された説をトマスが退けることもありますので、誰の説をいま述べているのかに注意して読むと、筋道がたどりやすくなります。

本文中の引用は、すべて翻訳HTMLの訳文によります。引用のあとに付く(緒言)や(第四章)などの表示は、その引用が翻訳HTMLのどの章にあるかを示しています。序章と用語には、訳文の外から補った説明が含まれますが、その部分は「原典の外の知識ですが」と断っています。気になった箇所は、翻訳HTMLで前後を通して読んでみてください。

まず序章で、この作品が書かれた時期と、向けられた学問の世界、そして議論の進む順序を確かめておきます。そのうえで、本文の最初の問い、トマスは、なぜ「存在するもの」と「本質」から始めるのか、に入りましょう。

トマス・アクィナス『存在するものと本質について』を読む
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