解説本
プラトン『ソクラテスの弁明』を読む
問いでたどる解説本
プラトンの『ソクラテスの弁明』を、ソクラテスが語った順に、一つずつ問いを立てながら読み進める解説本です。序章と全9章の計33節に、巻末の用語が付きます。序章で、この裁判の背景を押さえたうえで、古い告発者たちへの答えから、デルポイの神託、メレトスへの反対尋問、死と持ち場、有罪のあとの量刑の提案、最後のことばまで、語りの道筋を一つずつたどります。
本文中の引用は、すべて古典書房の翻訳HTML『ソクラテスの弁明』の訳文によります。サイトで公開している記事は、この本の第一章から第五章の最初の節にあたります。目次の「記事で読む」から、そのままお読みいただけます。
プラトン『ソクラテスの弁明』を読む
問いでたどる解説本
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目次
- はじめに(このページの下に全文を掲載しています)
- 序章 この作品を読むための背景
- 1 ソクラテスは、なぜ法廷に立つことになったのか
- 2 当時のアテナイは、どんな状況だったのか
- 3 喜劇の中のソクラテスは、本人とどう違うのか
- 第一章 前置きと、古い告発者たち(17a〜20c)
- 1 ソクラテスは、なぜ最初に「古い告発者たち」へ弁明したのか 記事で読む
- 2 長年広まっていた告発は、どんな内容だったのか
- 3 人々に教えて報酬を得る者たちと、ソクラテスはどこが違うのか
- 第二章 デルポイの神託と、吟味の旅(20d〜24b)
- 1 『ソクラテスの弁明』に、「無知の知」という言葉は出てくるのか 記事で読む
- 2 神託の言葉を、ソクラテスはどのように確かめようとしたのか
- 3 詩人や職人を訪ねて、ソクラテスは何を見つけたのか
- 第三章 メレトスへの反対尋問(24c〜28a)
- 1 ソクラテスはなぜメレトスの告発に反論できたのか? 反対尋問を読む 記事で読む
- 2 若者を善くするのは、誰なのか
- 3 神々を認めないという告発は、何を言っているのか
- 4 神々を認めずに、鬼神だけを認めることはありうるか
- 第四章 死と持ち場(28b〜29d)
- 1 ソクラテスはなぜ死をおそれなかったのか? 記事で読む
- 2 恥ずべきことを避けるのに、なぜ死を理由にしないのか
- 3 死を知らずに恐れることは、なぜ「知らないことを知っていると思う」ことなのか
- 第五章 魂を気遣うという勧め(29d〜31c)
- 1 ソクラテスはなぜ自分を「アブ」にたとえたのか? 記事で読む
- 2 「魂をできるだけ善くせよ」という勧めは、何を求めているのか
- 3 ソクラテスを有罪にして、いちばん損をするのは誰なのか
- 第六章 政治に関わらなかった理由(31d〜33b)
- 1 ソクラテスはなぜ政治に関わらなかったのか?
- 2 神のしるしは、ソクラテスに何をしてきたのか
- 3 評議会と三十人の時代に、ソクラテスは何をしたのか
- 第七章 命乞いをしなかった理由(33c〜35d)
- 1 ソクラテスはなぜ法廷で命乞いをしなかったのか?
- 2 ソクラテスと過ごした人々は、なぜ証人になれるのか
- 3 裁判官に懇願することは、なぜ正しくないのか
- 第八章 量刑の提案(36a〜38b)
- 1 有罪判決のあと、ソクラテスは自分にどんな刑を求めたのか?
- 2 自分にふさわしいものが「迎賓館での食事」だと言うのは、なぜか
- 3 牢獄・罰金・追放を、ソクラテスはなぜ選ばなかったのか
- 第九章 最後のことば(38c〜42a)
- 1 ソクラテスは死後をどう語ったのか? 最後の言葉を読む
- 2 有罪の票を投じた者たちに、ソクラテスは何を予言したのか
- 3 無罪の票を投じた者たちに、ソクラテスは何を語ったのか
- 4 死は、無なのか、それとも別の場所への移り住みなのか
- 5 最後に、ソクラテスは何を頼んだのか
- 用語(巻末)
はじめに
『ソクラテスの弁明』は、ソクラテスが、アテナイの法廷で、自分に向けられた告発に答えて語った言葉を、プラトンが書き記した作品です。ほとんどがソクラテスひとりの語りで、問答らしい問答が出てくるのは、告発者のひとりメレトスに問いただす場面だけです。読み通してみると、なぜこの人は死を前にして、あれほど落ち着いていられたのか、なぜ命乞いをしなかったのか、といった疑問が、あとから次々に湧いてきます。
この本は、その疑問を、ソクラテスが語った順に、一つずつ問いの形で立てながらたどるための案内です。翻訳HTMLの目次は、この作品を、判決前の弁明、有罪のあとの量刑の提案、最後のことばの三つに分けています。この本は、その内側を、場面の区切りにしたがって九つの章に分けました。その前に、この裁判の背景を短くまとめた序章を置き、巻末には、引っかかりやすい言葉の手引きとして「用語」を付けました。各章の中は、その場面で立ち上がる問いを見出しにした節に分かれています。
序章のあとの各章では、最初の節が、その場面の全体を通して読む節です。続く節は、その中の一つの場面を選んで、もう一段細かくたどります。どの節から読み始めても、その節で何が問われているのかが分かるように書いていますが、ソクラテスの語りは、前に述べたことを受けて進むので、順に読むことをおすすめします。
読むための手がかりを、一つだけ先に示しておきます。ソクラテスは、自分の告発者には二種類あったと言います。ひとつは、ずっと以前から、彼についてよくない噂を広めてきた人々で、名前さえ挙げられない相手です。もうひとつは、今回、正式に告訴状を出した人々です。ソクラテスは、まず前者に、次に後者に答えます。そのあと、自分の生き方を弁護し、有罪の評決を受けて、自分に求める刑を述べ、最後に、自分に票を投じた人々と、投じなかった人々に語りかけます。今どの場面を読んでいるのかを見失わなければ、この作品は、筋道をたどって読み通せます。
本文中の引用は、すべて翻訳HTMLの訳文によります。序章と用語には、訳文の外から補った説明が含まれますが、その部分は「原典の外の知識ですが」と断っています。引用のあとの(21a)などの記号は、ステファヌス版の番号(古典学における標準的な引用単位)で、翻訳HTMLの「底本頁」表示と対応しています。気になった箇所は、翻訳HTMLで前後を通して読んでみてください。この本は、原典を読む代わりではなく、原典を読むための地図として書かれています。
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