解説本

プラトン『ソクラテスの弁明』を読む

問いでたどる解説本

プラトンの『ソクラテスの弁明』を、ソクラテスが語った順に、一つずつ問いを立てながら読み進める解説本です。序章と全9章の計33節に、巻末の用語が付きます。序章で、この裁判の背景を押さえたうえで、古い告発者たちへの答えから、デルポイの神託、メレトスへの反対尋問、死と持ち場、有罪のあとの量刑の提案、最後のことばまで、語りの道筋を一つずつたどります。

本文中の引用は、すべて古典書房の翻訳HTML『ソクラテスの弁明』の訳文によります。サイトで公開している記事は、この本の第一章から第五章の最初の節にあたります。目次の「記事で読む」から、そのままお読みいただけます。

プラトン『ソクラテスの弁明』を読む
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HTMLファイル(1ファイル)。ご購入後は、古典書房のサイト内でもお読みいただけます。

目次

はじめに

『ソクラテスの弁明』は、ソクラテスが、アテナイの法廷で、自分に向けられた告発に答えて語った言葉を、プラトンが書き記した作品です。ほとんどがソクラテスひとりの語りで、問答らしい問答が出てくるのは、告発者のひとりメレトスに問いただす場面だけです。読み通してみると、なぜこの人は死を前にして、あれほど落ち着いていられたのか、なぜ命乞いをしなかったのか、といった疑問が、あとから次々に湧いてきます。

この本は、その疑問を、ソクラテスが語った順に、一つずつ問いの形で立てながらたどるための案内です。翻訳HTMLの目次は、この作品を、判決前の弁明、有罪のあとの量刑の提案、最後のことばの三つに分けています。この本は、その内側を、場面の区切りにしたがって九つの章に分けました。その前に、この裁判の背景を短くまとめた序章を置き、巻末には、引っかかりやすい言葉の手引きとして「用語」を付けました。各章の中は、その場面で立ち上がる問いを見出しにした節に分かれています。

序章のあとの各章では、最初の節が、その場面の全体を通して読む節です。続く節は、その中の一つの場面を選んで、もう一段細かくたどります。どの節から読み始めても、その節で何が問われているのかが分かるように書いていますが、ソクラテスの語りは、前に述べたことを受けて進むので、順に読むことをおすすめします。

読むための手がかりを、一つだけ先に示しておきます。ソクラテスは、自分の告発者には二種類あったと言います。ひとつは、ずっと以前から、彼についてよくない噂を広めてきた人々で、名前さえ挙げられない相手です。もうひとつは、今回、正式に告訴状を出した人々です。ソクラテスは、まず前者に、次に後者に答えます。そのあと、自分の生き方を弁護し、有罪の評決を受けて、自分に求める刑を述べ、最後に、自分に票を投じた人々と、投じなかった人々に語りかけます。今どの場面を読んでいるのかを見失わなければ、この作品は、筋道をたどって読み通せます。

本文中の引用は、すべて翻訳HTMLの訳文によります。序章と用語には、訳文の外から補った説明が含まれますが、その部分は「原典の外の知識ですが」と断っています。引用のあとの(21a)などの記号は、ステファヌス版の番号(古典学における標準的な引用単位)で、翻訳HTMLの「底本頁」表示と対応しています。気になった箇所は、翻訳HTMLで前後を通して読んでみてください。この本は、原典を読む代わりではなく、原典を読むための地図として書かれています。

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