解説本
プラトン『パルメニデス』を読む
問いでたどる解説本
プラトンの対話篇『パルメニデス』を、原典の順に、一つずつ問いを立てながら読み進める解説本です。全13章26節。前半の形相(イデア)への問いから、後半の「一があるなら」「一があらぬなら」の一問一答まで、議論の道筋を一つずつたどります。
本文中の引用は、すべて古典書房の翻訳HTML『パルメニデス』の訳文によります。サイトで公開している記事は、この本の節の一部です。目次の「記事で読む」から、そのままお読みいただけます。
プラトン『パルメニデス』を読む
問いでたどる解説本
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目次
- はじめに(このページの下に全文を掲載しています)
- 第一章 対話の枠(126a〜127d)
- 1 なぜ、この対話は三重の伝聞で語られるのか
- 第二章 ゼノンの書物とソクラテスの形相(127d〜130a)
- 1 ゼノンは、なぜ「多はない」と論じたのか
- 2 同じものが、似ていて似ていないことはありうるか
- 第三章 形相への問い(130a〜135c)
- 第四章 訓練の必要とその方法(135c〜137c)
- 1 若いソクラテスには、何が足りなかったのか
- 2 「ないと仮定してみる」とは、どういう訓練なのか
- 3 老パルメニデスは、なぜ「言論の海」を恐れたのか
- 第五章 一があるなら、一は(その一)(137c〜142a)
- 1 部分のない一は、どこにあるのか
- 2 一は、なぜ時間のうちにないのか
- 3 名づけることさえできない一とは、何なのか
- 第六章 一があるなら、一は(その二)(142b〜155e)
- 1 「一がある」と「一が一である」は、どう違うのか 記事で読む
- 2 一から、なぜ数が生まれるのか
- 3 一は、なぜ自分のうちにも他のもののうちにもあるのか
- 4 一は、自分より年上で、しかも年下なのか
- 第七章 時間のうちで変化する一と瞬間(155e〜157b)
- 1 動き出すのは、いつなのか 記事で読む
- 第八章 一があるなら、他のものは(その一)(157b〜159b)
- 1 全体と部分は、何によって一つにまとまるのか
- 2 物に「区切り」を与えるのは何か
- 第九章 一があるなら、他のものは(その二)(159b〜160b)
- 1 一とまったく切り離された物は、どうなるのか
- 第十章 一があらぬなら、一は(その一)(160b〜163b)
- 1 「ない」ものについて、なぜ語ることができるのか
- 2 あらぬ一は、なぜ存在を分有するのか
- 第十一章 一があらぬなら、一は(その二)(163b〜164b)
- 1 まったく「ない」とは、どういうことか
- 第十二章 一があらぬなら、他のものは(その一)(164b〜165e)
- 1 遠くから見れば一つ、近づけば無数 記事で読む
- 第十三章 一があらぬなら、他のものは(その二)(165e〜166c)
- 1 『パルメニデス』は、なぜ答えを出さずに終わるのか
はじめに
『パルメニデス』は、プラトンの対話篇のなかで、もっとも難解な作品の一つとされてきました。前半では、若いソクラテスが、美そのもの、正義そのもの、類似性そのもののような形相(イデア)を立て、老いたパルメニデスがそれを次々に問い詰めます。後半では、パルメニデス自身が、一があるなら、一があらぬなら、何が帰結するかを、一問一答で延々とたどってみせます。前半は読めても、後半で道を見失う。多くの読者が経験することです。
この本は、その道筋を、原典の順に、一つずつ問いを立てながらたどるための案内です。章は、古典書房の翻訳HTML『パルメニデス』の解説、および無料で公開している「知るための本」と共通の、十三の区分に対応しています。各章の中は、その区分で立ち上がる問いを見出しにした節に分かれています。どの節から読み始めても、その節で何が問われているのかが分かるように書いていますが、後半(第五章以降)は、前の章の結論を受けて進むので、順に読むことをおすすめします。
後半を読むための手がかりを、一つだけ先に示しておきます。第四章で見るように、パルメニデスは、仮定を立てるときには、それが「ある」とする場合と「あらぬ」とする場合の両方について、そのもの自身にとって、また他のものにとって、何が帰結するかをたどれ、と言います。後半の各章は、ほぼこの組み合わせのどこかに当たります。第五章・第六章は「一があるなら、一は」、第八章・第九章は「一があるなら、他のものは」、第十章・第十一章は「一があらぬなら、一は」、第十二章・第十三章は「一があらぬなら、他のものは」。第七章だけは、第五章と第六章の結論を時間のうちで結びつける、つなぎの考察です。そして、それぞれの組は、捉え方の違いによって、正反対の結論を出す二つの考察から成っています。今どの組のどちら側を読んでいるのかを見失わなければ、後半は必ず読み通せます。
用語について、一つお断りしておきます。この対話篇では、形相を指す語として、「エイドス」と「イデア」の二つが使われています。古典書房の翻訳HTMLでは、原語の違いを示すために前者を「形相」、後者を「イデア」と訳し分けていますが、指しているものは同じです。この本でも、引用のなかでは訳文どおり「形相」「イデア」を使い、地の文では、文脈に応じて両方を用いています。
本文中の引用は、すべて翻訳HTMLの訳文によります。引用のあとの(130b)などの記号は、ステファヌス版の番号で、翻訳HTMLの「底本頁」表示と対応しています。気になった箇所は、翻訳HTMLで前後を通して読んでみてください。この本は、原典を読む代わりではなく、原典を読むための地図として書かれています。
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